水難事故の原因は、全体で見ると海釣りが多くなっています。
しかし、子供に限れば水難事故の原因には偏りが見られます。川の水遊びがもっとも多い原因となっているのです。
川での水難事故では、ライフジャケットを着用することでほぼ死亡事故を防げることがわかっています。
この記事では、水難事故の原因について解説します。
また、子供にライフジャケットを着用させることの効果についても説明します。

水難事故の原因
出典:警察庁『水難の概況』※平成27年~令和1年の総計
警察庁生活安全局によると、水難事故での死者・行方不明者は海が一番多く、次いで川となっています。
また、死者・行方不明者の行為別割合がもっとも高いのは、釣り(魚とり含む)となっています。
さらに、釣りでの死者・行方不明者数の9割が海中転落となっています。
このような傾向を踏まえて、国土交通省は2018年2月1日より、小型船舶への乗船には安全基準に適合するライフジャケットの着用を義務付けています。
水難事故の原因は、海釣りの海中転落が一番多いということになります。海上保安庁によると、次のような事故が報告されています。
- 2020年9月:足に絡まった釣り糸を外そうとして、バランスを崩して転落。
- 2020年9月:海に落とした釣竿を回収しようとして海に入り、戻れなくなった。
- 2020年9月:釣り中に居眠りして海中に転落。
- 2020年4月:釣れた魚の針を外そうとしていたところ、大きな波にのまれて転落。目撃者が118番通報したが発見後に死亡が確認された。
- 2020年3月:釣り船と漁船が衝突。釣り船の6名が海中転落し、うち2名が死亡。
ライフジャケットの効果
出典:海上保安庁
水難事故は、海の事故が突出していることがわかりました。
海上保安庁の資料によると、ライフジャケットを着用することで海中転落時の生存率が高くなることがわかります。
また、海上保安庁で扱った水難事故の内容には、次のような原因が挙げられています。
- 海中転落:岸壁等での釣り中に足を踏み外して転落。
- 負傷:磯釣り中に転倒して負傷・落水。
- 溺水:釣り中に竿ごと海中に引き込まれて溺水。
- 帰還不能:渡し舟で磯に渡ったが、天候急変により渡し舟が着岸できず帰還不能。
海での水難事故の対策として、ライフジャケットの着用は効果が見られます。
船釣りではなくても、堤防や磯ではライフジャケットを着用することが望ましいのです。
水難事故の原因(子供)
出典:警察庁『水難の概況』※平成27年~令和1年の総計
警察庁生活安全局の資料では、子供の水難事故の原因を見ることができます。(子供とは、中学生以下を指す)
この資料では、子供の水難事故が非常に偏った状況で起こっていることがわかります。
子供の水難事故は、河川での事故が突出しています。さらに、原因でもっとも多いのは水遊びとなっています。
水難事故全体での一番の原因が海釣りであるのに対して、子供の水難事故は川の水遊びで多発しているのです。
川における子供の水難事故は、次のような原因で起こっています。
- 急流に引き込まれて流される。
- 飛び込んだ際に岸壁に身体・頭部を打ち付ける。
- 川底の石や木に足が挟まって溺れる。
- 上流での雨やダム放水による急な増水に巻き込まれる。
- 親が目を離したすきに行方不明になる。
川の水難事故はライフジャケットで防げる
過去10年間、川での水難事故件数 約2900件
内ライフジャケットを着用して亡くなった事例19件
全体の0.65%以下です。
毎年のように水難事故の悲しいニュースを目にします。
RAC(NPO法人 川に学ぶ体験活動協議会)の資料では、ライフジャケットの効果を見ることができます。
川の水難事故においては、ライフジャケットの着用が死亡事故を大幅に防ぐ効果があることがわかります。
子供の水難事故の大半は川の水遊びです。川での子供の死亡事故は、ライフジャケット着用でほぼ防げます。

まとめ
- 水難事故での死者・行方不明者は海が一番多く、次いで川となっている。
- ライフジャケットを着用することで海中転落時の生存率が高くなることがわかる。
- 水難事故全体での一番の原因が海釣りだったのに対して、子供の水難事故は川での水遊びとなっている。
- ライフジャケットを着用することで子供の水難事故をほぼ防げることがわかる。
